今回は、学生オーケストラにおすすめの曲・交響曲(初級編)を紹介します。
学生オーケストラは、人数や難易度の制限があり選曲がとても難しいです。また、交響曲の知識が少ない中で選曲をするにはとても大変です。私も学生時代、限られた時間の中で交響曲を何曲も何曲も聴いて大変だった思い出があります。
そこで、学生オーケストラの皆さんの選曲に役立つよう、初級編と題して比較的編成が小さく、難易度も低めな交響曲を紹介していきます。あわせて、その曲の知名度も付けて紹介していきます。
ちなみに私がいた学生オーケストラは、1年生から4年生まで合わせてようやくフルオーケストラになる小さいの規模で技術的にも決して上手とは言えないレベルだったので、この初級編はかなりリアルだと思います。
ちなみに、編成は弦5部(バイオリン2部、ビオラ、チェロ、コントラバス)、2管編成(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペット、トロンボーン)を基本とします。増える場合は「+○○」、減る場合は「-○○」と楽器を記載します。
また、難易度は「入部してきた初心者の1年生が、いつの演奏会なら大丈夫か」を基準に設定しています。
★☆☆☆☆・・2年生の春
★★☆☆☆・・2年生の冬
★★★☆☆・・3年生の春
★★★★☆・・3年生の冬
★★★★★・・4年生の冬
ベートーベン交響曲1番
編成:-トロンボーン
難易度:★☆☆☆☆
知名度:★★★☆☆
ベートーベンの交響曲は、3番、5番、6番、7番、9番は良く取り上げられ人気も知名度も高いです。逆に、残りの交響曲の中で比較的演奏機会が多いのが今回紹介する第1番です。演奏時間も30分と、演奏会のメインにするのに適しています。
ベートーベンの初期の作品なので、かなり古典の印象が強く、5番や7番に通じるところがあります。3楽章はいかにもベートーベンらしいテンポの良さが良いですね。
曲の難易度ですが、細かく早いフレーズ、高音がないので、しっかり基礎練を行えば演奏出来ます。テンポを落とすことで、1楽章や3楽章の難易度を下げることは出来ますが、曲が間延びしてしまいかえって細かい部分のミスが目立つので、テンポを気にして演奏する事をおすすめします。
また、トロンボーンが編成されていないので、サブ曲には管楽器が活躍する曲が必要になります。シベリウスの「フィンランディア」や、グリーグの「ペールギュント」など、管楽器が目立つサブがおすすめです。
シューマン交響曲第1番
編成:±0
難易度:★★☆☆☆
知名度:★★☆☆☆
4作ある交響曲の第1番です。副題に「春」と付いているので、最初の演奏会に向いていますね。基本的な編成なので、楽器の出番を心配する必要がなくとても安心です。
シューマンはオーケストラ編成が下手と言われています。この曲はまさにそうで、各パートが正しく弾いてもなんとなく違和感が残り演奏しにくい印象を受けました(もちろん私の技術不足も原因です)。
知名度は低めですが、演奏時間は約33分とボリュームがあり、華やかな曲調なのでメインに向いています。
ゆったりとした2楽章はメロディーの良い練習になり、テンポの早い3楽章は落ちないように注意しましょう。4楽章は終盤にテンポが上がるので、テンションが上がりすぎて走らなければ大丈夫ですが、弦楽器が走ると崩壊の危機なので気をつけましょう。
ボロディン交響曲第2番
編成:ピッコロ(持ち変え)、イングリッシュホルン(持ち変え)、チューバ、ハープ
難易度:★★★☆☆
知名度:★★☆☆☆
編成がやや大きく、ここがクリア出来ればおすすめです。演奏時間は約30分くらいで、とても癖が強い曲ですが、ロシアの作曲家なのでチャイコフスキーのように美しいメロディーが随所にでてきます。「だったん人の踊り」や「弦楽四重奏第2番」などボロディンおすすめです。
1楽章は冒頭、とんでもないインパクトを与えてくれます!トゥッティのフェルマータではじまり、直後に弦楽器のダウンボウで力強く荒々しい表現になっており、1楽章はこのメロディーではじまり、中間部は美しいメロディーが奏でられるも、やはり冒頭のメロディーで終わります。
この交響曲で危険なのは2楽章です。ホルンがテンポを刻むんですが、メロディーが裏拍なんです。しかも、バイオリン→木管→低弦と移るためテンポを見失いやすいです。
さらに、頭拍がトロンボーンやチューバなので音を聴いてから弾いたら間に合いません。低弦はやや食い気味に弾かないと音も遅いので崩壊します。
テンポを刻むのがホルンは音程が低めで柔らかい音なので、打楽器や低弦よりも拍打ちの安心感が少ないのもこの楽章をややこしくしている原因です。
学生時代、初見で合奏を行ったら1人、また1人と落ちていき、各パートのトップが無理やり続ける無残な結果だったのを覚えています(笑)
一定の基礎が身に付いていれば問題は少ないですが、低弦、ホルンが頼りないとやや危険です。
シューベルト交響曲第7番「未完成」
編成:±0
難易度:★★☆☆☆
知名度:★★★★☆
楽器編成、難易度、知名度のバランスが良く、演奏時間が約25分と短い事を抜かせば最適な曲です。トロンボーンも出番があるので、とても助かります。「未完成」という名称がクラシックを知らない人にも響きます。
1楽章、2楽章ともテンポが遅いので、弦楽器が楽譜をさらえないことは無いです。私もチェロを始めて半年で一応音をひろえました(上手く弾けるとは別です)。管楽器はロングトーンでメロディーがあるので、配分を間違えなければ大丈夫です。
テンポが遅くロングトーンが多いので、音程がずれると悲惨なので注意しましょう。
起伏が少ないので、聴いている人が飽きてしまう恐れがあります。大きい編成が出来るオケだと、サブ曲にする事もありますので、自分たちの編成、前後のプログラムで調整が必要です。
ベートーベン交響曲第5番「運命」
編成:-トロンボーン
難易度:★★☆☆☆
知名度:★★★★★
もし、トロンボーン不在の編成でOKなら、「運命」が1番おすすめです。古典的要素が強いので弾いていてムチャクチャな部分が無く、しっかり練習出来れば弦楽器、管楽器とも形になります。入部して1年目の演奏会でも乗れる(出演する)と思います。知名度は抜群なので集客も見込めて、演奏する側も自分なりの運命のイメージがあると思うので良い演奏に繋がります。
チェロ的な難点を言えば、4楽章の後半でバイオリン、ビオラと同じメロディーを弾くときはヤバいです。最初から他の楽器と同じ動きならペースを保ちやすいですが、途中から同じ動きをするのでスタートが入りにくいです。
しかも、チェロ内でパートが2つに分かれます。こんなに忙しく動かすくせにセカンド、ビオラ、チェロ以外の楽器はロングトーンもしくは刻みなので正直聞こえませんが、ここまで来て弾けないのは内声パートとしては悔しいのでプライドを持って頑張りましょう!まあ、どんなに頑張ってもピッコロにはかないませんけど(笑)
まとめ
いかがでしたでしょうか?学生オーケストラは編成と難易度に大きく左右されるので、選曲がとても難しいと思います。
実体験を基に作りました、参考になると幸いです。あわせて、下の記事も参考にどうぞ。
【チェリストがおすすめ】学生オケにおすすめな曲・交響曲(中級編)
【チェリストがおすすめ】学生オケにおすすめな曲・交響曲(上級編)
【チェリストがおすすめ】学生オケにおすすめな曲・中プロ、サブメイン曲(ハープ無し)
コメント