クラシック曲の中には、もともとは違う楽器や編成で作曲されたものを、チェロ演奏用にアレンジされた楽曲があります。
チェロが出せる音域は人の声の音域と同じと言われています。声楽曲やピアノ曲などがチェロ用になっていて、オリジナルとはまた違った魅力の曲になっています。
愛の挨拶:エルガー
イギリスの作曲家、エルガーの曲です。もともとはヴァイオリン用として作曲され、ピアノ用、オーケストラ用など様々なバリエーションが作曲家自身によって作られています。
ヴァイオリンの演奏では特有の高音でキラキラした印象を与えるこの曲ですが、チェロの演奏では低音が曲に深みを持たせ、ヴァイオリンとは違った魅力を感じられます。「愛の挨拶」で動画を検索するとチェロバージョンも結構出てきますよ。
エルガーが自身の妻「アリス」との婚約記念に贈った曲で、美しく優しいメロディーが人気の曲です。
ヴォカリーズ:ラフマニノフ
ロシアの作曲家、ラフマニノフの曲です。もともとは、歌曲用として作曲され、本人の手によって管弦楽曲版も作られました。その後、様々な楽器の曲にアレンジされ、チェロ版も出来ました。
ヴァイオリン、ピアノの演奏が目立ちますが、哀愁を帯びた旋律はチェロの音色と相性が良く、美しく物悲しいメロディーで人気の曲です。
歌の翼に:メンデルスゾーン
ドイツの作曲家、メンデルスゾーンの曲です。もともとは、歌曲として作曲され、「ハインリヒ・ハイネ」が作った詩にメンデルスゾーンが曲をあてたもので、歌曲、ピアノ曲が圧倒的に多いです。
歌詞の内容は、愛する人と一緒に理想郷で幸せな時を過ごす様子が歌われており、甘く美しいメロディーがとても素晴らしい曲です。
動画でチェロを弾いている女性は「nana」さんです。【美しい、可愛いクラシックの女性演奏家】で紹介しているので、気になる方は見て下さい。
アヴェマリア:グノー
フランスの作曲家、グノーの曲です。ピアノの伴奏にメロディーが乗った二重奏曲です。
このピアノ伴奏は、バッハが作曲した《平均律クラヴィーア曲集 第1巻》の「前奏曲 第1番 ハ長調」をほぼそのまま使っています。厳密に言うと、1小節足しているので編曲してはいますが、メロディーが乗りやすいように修正したくらいの違いなのでなかなか違いはわかりません。
ただ、伴奏に乗せたメロディーがとても美しく素晴らしい作品になっています。
クラシックでは、他の作曲家のメロディーを使ったり変化させながら別の曲を作ることが多いので「盗作」とはなりませんが、原曲を聴くと驚きですよ。
動画は、バッハの《平均律クラヴィーア曲集 第1巻》の「前奏曲 第1番 ハ長調」と、グノーのアヴェ・マリアの両方をのせてみるので、両方聴いてみて下さい。
カッチーニのアヴェマリア:ヴァヴィロフ
ロシアの作曲家、ヴィヴァロフの曲です。ヴィヴァロフという人は自身で作った曲を、昔の作曲家の名前で発表したり、作者不明で発表したりと、作曲様式にこだわらない人でした。
そのため、この「アヴェ・マリア」も当初は「作曲者不詳」でしたが、ソプラノ歌手のCDで発表された際に「作者:カッチーニ」と表記されたため、現在では「カッチーニ」の作品と呼ばれている事が多いです。
夢のあとに:フォーレ
フランスの作曲家、フォーレの曲です。今ではヴァイオリンやチェロ版が有名ですが、もともとは「3つの歌」という作品で歌曲として作られました。イタリアのトスカーナ地方に古くから伝わる詩を、ロマン・ビュッシーヌがフランス語に翻訳しました。
詩の内容は、夢の中で出会った幻想的な美しい女性と幸せな世界にいたが、夢が覚め現実に戻ってしまいとても悲しい、といった内容になっています。
先ほども書きましたが、哀愁とチェロはとても相性が良いです。チェロ版が多いのも納得できるメロディーと詩の内容です。
いかがでしたでしょうか。
コメント