今回は、「泣ける曲・悲しい曲」をご紹介します。美しいメロディーや、悲哀に満ちたメロディーなど、心の琴線に触れる曲をピックアップしました。
別れの曲:ショパン
ポーランドの作曲家、ショパンのピアノ曲です。とても美しい旋律で、ショパン自身が「一生のうち二度とこんなに美しい旋律を見つけることはできないだろう」と言った程です。
この曲は正式名称「練習曲作品10第3番ホ長調」であり、演奏会用に作られたものではなく、ピアニストの練習のために作られたものです。
練習曲と聴くと、バイエルやツェルニーなど技巧を練習するための楽譜で、他人に披露しない印象がありますが、ショパンの練習曲は技術だけでない美しさや感情を表現する事を大切に思っていたのかも知れません。
ショパンの練習曲で他に有名なものは、「黒鍵」、「革命」、「蝶々」、「木枯らし」などで、どれも練習曲とは思えないメロディアスで美しい曲です。
「別れの曲」は、重音の跳躍を練習するための曲で、確かに言われるとわかりますが、とにかく美しい曲ですね。
ちなみに「別れの曲」と呼ばれるのは、「別れの曲」と言うドイツ映画でこの曲が使用され、そのままタイトルが定着したからです。
ノクターン第2番:ショパン
こちらもショパン作曲のピアノ曲です。ノクターンは日本語で「夜想曲」で、夜の情緒を表す曲です。ゆったりとしたテンポに、ロマンティックなメロディーの曲を指します。
ショパンの「ノクターン」は全部で21曲あり、その中で1番有名な曲です。その他には、8番、13番、20番とあるので、興味があったら聴いてみて下さい。ちなみに20番は、映画「戦場のピアニスト」で使われました。
ジムノペティ第1番:サティ
フランスの作曲家、サティのピアノ曲です。変わり者として有名なサティですが、この曲はとても美しい曲です。
日本で有名になった経緯は、ゴジラのテーマ曲の作曲などで有名な伊福部昭は著書の中で「人類が生みえたことを神に誇ってもよいほどの傑作」と絶賛したことがきっかけでした。
長い音符で構成されゆったりとしたテンポで進むこの曲はとてもリラックスさせてくれます。こんなにも少ない音符で心を解放してくれる曲はありません。
寝る前のBGMにはもってこいですね。
弦楽四重奏曲第2番第3楽章:ボロディン
ロシアの作曲家、ボロディンが作曲した弦楽四重奏曲です。
3楽章は「夜想曲」なので、ロマンティックなメロディーと静かな雰囲気が特徴です。
主にチェロとファーストバイオリンがメロディーを弾き、セカンドバイオリンとビオラが伴奏や合いの手を加えます。
もちろんメロディーが美しく素敵ですが、注文してもらいたいのは内声パート(メロディじゃないパート)を担当しているセカンドバイオリンとビオラです。このパートが低音でグググっと弾き込んでいる演奏を聴くと、メロディーがさらに引き立ち、よりドラマチックに聴こえてきます。
スラブ舞曲第2集第2番:ドヴォルザーク
チェコの作曲家、ドヴォルザークの作品です。スラブ舞曲は第1集、第2集とあり、今回紹介するのは第2集の2番目の曲です。
○○舞曲と言えば他に、ブラームスの「ハンガリー舞曲」が挙げられますが、ドヴォルザークはブラームスの援助を受けてこのスラブ舞曲の作曲を行いました。
NHKの音楽番組「名曲クラシック」で、放送開始1番目にこの曲が取り上げられる程、知名度の高い曲です。
カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲:マスカーニ
イタリアの作曲家、マスカーニのオペラ曲です。オペラのクライマックスが始まる直前に演奏される間奏曲で、あまりにも美しい曲のため、単体で演奏される事の多い楽曲です。
全体で約3分と短いですが、穏やかな弦楽器の演奏から、悲しげなオーボエのフレーズのあと、全てを包み込むようなハープの音色と共にあらわれる主題はとても暖かく、とても完成された曲です。
オペラの内容は、三角関係のもつれによる決闘と殺人と言うおどろおどろしいもので、決闘シーンの前に流れる間奏曲が逆説的な演出を意味しています。
弦楽のためのアダージョ:バーバー
アメリカの作曲家、バーバーの弦楽曲です。重く、暗い曲調なので、ケネディ大統領が暗殺された際の葬儀に使われました。そのせいでどうしても「葬送」のイメージが定着していますが、バーバー自身は「葬儀のための曲ではない」と言っていたようです。
ゆっくりとしたテンポで進んでいく楽曲で、音階が少しずつ上昇しながら音量も上がっていき、悲痛な叫びのようにも聴こえてきます。
演奏開始から約6分半あたりから、バイオリン、ビオラの高音で奏でられる長い音符は、あたかも悲しみで溢れる涙のように聴こえ、ピークに達して一瞬の静寂を迎えます。
あまりにも儚く悲痛なこの叫びが、この曲の最大の魅力に感じます。
アメリカでは同時多発テロの慰霊祭で演奏され、日本でも昭和天皇の崩御の際にNHK交響楽団が演奏した様子を放映したり、東日本大震災の復興コンサートでも演奏されたりと、イメージはなかなか払拭できていませんが、厳かで美しい事に変わりはなく、人気の高い曲です。
交響曲第2番第3楽章:ラフマニノフ
ロシアの作曲家、ラフマニノフの曲です。この交響曲の前に作られたピアノ協奏曲第2番がとても好評であり、結婚と子宝にも恵まれた時期に作曲された事もあり、伸びやかで美しい交響曲です。
全体を通して60分ある大きな交響曲で、3楽章だけでも15分くらいありますが、美しいメロディーと場面転換や起伏があり飽きさせません。
冒頭の弦楽器が奏でるメロディーはどことなく悲しみを含んだ、それでいて優しさも感じさせます。たった20秒程度のメロディーですが、激しく力強い1、2楽章を聴いたあとの3楽章は心にグッと来るものがあります。
クラリネットやバイオリンのソロをオケ全体で盛り上げるオーケストレーションも感動をさそう素晴らしい楽章です。
動画は3楽章から始まるようになっています。
いかがでしたでしょうか。感動的な曲から心が静まる、感傷的になる曲までご紹介させて頂きました。
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