オーケストラには、バイオリンやチェロなどの弦楽器、フルートやオーボエなどの木管楽器、トランペットやホルンなどの金管楽器、そしてティンパニなどの打楽器、そしてピアノやオルガンなどを使って多くの曲が作られています。
また、ヴィオラ・ダ・ガンバやチェレスタなど古い楽器や、テルミンなどの現代楽器などさまざまな楽器があります。
今回は、そんなさまざまな楽器だけでなく、「楽器とは呼べない物」を使って作曲されたクラシック曲をご紹介していきます。
ルロイアンダーソン:タイプライター
ルロイアンダーソン(1908〜1975年)はアメリカの作曲家です。「ピチカートが印象的なクラシック曲」でも紹介した作曲家で、親しみやすい曲が多いです。
タイトルでお気づきのように、なんと「タイプライター」が実際に演奏中に使用されます。
「カタカタカタ」というキーを押す音、改行を知らせる「チーン」という音、改行時の「ガチャ」の音、全てが音楽にピッタリ合っていて本当に楽しい曲です。
クラシック曲としては愉快な曲なので、タイプライター演奏者が結構ふざけたりするのも見どころです。
タイプライター演奏者の登場からお楽しみ下さい。
ルロイアンダーソン:シンコペーテッドクロック
こちらもルロイアンダーソンが作曲した曲です。「時計」の音をモチーフにした曲です。
演奏する団体によって楽器はさまざま変わりますが、時計の音を表現するのは「カウベル」や「ウッドブロック」と言われるものを使い、ベルの音は「トライアングル」で「ジリリリリ」と鳴らしたりします。
実際に目覚まし時計のアラームを鳴らした演奏もあるので、クラシックという固いイメージを和らげてくれます。
最後の「ピュイッ」という音は「スライドホイッスル」と呼ばれる楽器で愉快な音を出してくれます。最期まで楽しめる面白いクラシック曲です。
ラヴェル:ダフニスとクロエ
ラヴェル(1875~1937)はフランスの作曲家です。「ダフニスとクロエ」はバレエ音楽として作られ、「ダフクロ」の愛称で親しまれています。
この曲には風の音を表現する「エオリフォン」が使われています。「エオリフォン」はラヴェルが付けた名前で、一般的には「ウインドマシーン」と呼ばれています。
動画はその「ウインドマシーン」が動き始めたところから再生されます。動画右下の黒い物をくるくる回すと「ヒュー――」と強弱を付けて演奏する事が出来ます。
リヒャルト・シュトラウス:アルプス交響曲
リヒャルト・シュトラウス(1864~1949)はドイツの作曲家です。演奏する人数が多く必要なオペラや交響詩をたくさん作り、ドイツを代表する有名な作曲家です。
今回紹介する「アルプス交響曲」は、アルプスの登山者の1日を音楽で表現した作品です。
「ウインドマシーン」や「カウベル」の他、「サンダーマシン」と呼ばれる雷の音を表現する道具が登場します。鉄板を揺らしたり叩いたりして雷の音を表現する方法や、筒状の物の中に小石などを入れて左右に揺らしゴロゴロとした音を鳴らすなど様々なやり方があります。
残念ながら他の楽器の音でサンダーマシンの音は聴こえませんが、他の曲では目にすることはないので、是非見て下さい。
マーラー:交響曲第6番「悲劇的」
マーラー(1860〜1911年)はオーストリアの作曲家です。
10曲の交響曲を作り、第1番ではコントラバスのソロがあり、第2番では鈴を使い、第5番は映画に使われ、第8番は「千人の交響曲」と呼ばれるなど、作曲家の大家として知られています。
今回紹介する第6番は冒頭のメロディーが有名ですが、この曲を一躍有名にしたのは第4楽章に現れる「ハンマー」です。
曲が最高潮に盛り上がる場面で打ち付けられるハンマーの音は場面を一気に転換させます。動画だとそこまで伝わりませんが、生で見るといまかいまかと固唾を飲んで見守る緊張感と迫力にかなりのインパクトを受けます。
チャイコフスキー:1812年
チャイコフスキー(1840〜1893年)はロシアの作曲家です。
この曲で最大の特徴は、「大砲」が使われている事です。実際の演奏会は室内なのでバスドラムとシンバルで演奏されますが、自衛隊の外での演奏会では空砲を使われる演奏もあります。
吹奏楽演奏になりますが、大砲が使われた演奏の様子をご覧下さい。大砲のあまりの迫力に悲鳴があがっています。
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