出典元:マーベル公式ホームページ
2019年4月26日、「アベンジャーズ/エンドゲーム」が日本で公開されました。
それまで興行収入世界1位の「アバター」を抜き、新しい世界1位の興行収入を叩き出した大人気作品です。
前作「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」の衝撃のラストから約1年、そして10年間続いたMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の集大成となる今作はどんな結末を迎えるのでしょうか。
MCU第1作目の「アイアンマン」から全てのシリーズを見てきた私が実際に見た感想と、ネタバレ解説をしていきます。
前作までのあらすじ
前作「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」の最後、強力な力を持つ6つのインフィニティ・ストーンを手にしたサノスによって全宇宙の生命が半分になり、地球でも約35億人の人が消滅してしまいました。
サノスを止める事が出来ず多くの仲間を失ったアベンジャーズは、それでも前を向いてサノスへの復讐「アベンジャー」を誓い戦い続けるが・・・。
一方、惑星タイタンでサノスに敗れたアイアンマンは地球に無事生きて地球に戻ってくるのか?
まずは、予告動画をご覧下さい。
出典元:マーベル公式ホームページ
アベンジャーズが新しいお揃いのユニフォームを着ていたり、ソーと対峙する見慣れない女性とアントマンも確認出来ます。
新しいユニフォームには何か意味があるのか、見慣れぬ女性とアントマンはどう関係してくるのか!?
「インフィニティ・ウォー」と「エンドゲーム」の間の作品について
「エンドゲーム」を解説する上で重要なのは、「インフィニティ・ウォー」から「エンドゲーム」の間に公開された作品を紹介する必要があります。
①「アントマン&ワスプ」
「アントマン」は体を小さくする事が出来るスーツを着た主人公が悪と戦う作品で、その続編にあたります。
「アントマン&ワスプ」では、戻ってこれないと考えられていた量子の世界の話がメインで、これが「エンドゲーム」に大きく関わっています。
②「キャプテン・マーベル」
「インフィニティ・ウォー」のポスト・クレジット・シーンで「ニック・フューリー」が使った機械で連絡を取った相手が、「キャプテン・マーベル」です。
「キャプテン・マーベル」はスペース・ストーンから取り出したエネルギーを浴びた女性の空軍パイロット
「キャロル・ダンヴァース」の話で、宇宙空間も生身で飛び回れる、かつてない程の強さを持ったキャラクターです。
また、地球外生命と戦う「アベンジャー計画」は、キャロル・ダンヴァースが乗っていた飛行機に使われるコールサイン「アベンジャー」から取った名前です。
以上の2作品が「エンドゲーム」の鍵を握っています。
では、ネタバレを含む解説をしていきます。
「インフィニティ・ストーン」を全て付けたガントレット、そしてサノスの行方
「インフィニティ・ウォー」では、6つのインフィニティ・ストーンを手にしたサノスの指パッチンによって、全宇宙の半分の命が消滅しました。
「エンドゲーム」では、インフィニティ・ストーンの付いたガントレットをサノスから取り返し、全ての命を元に戻すため、ヒーロー達が動き始めるところから物語が始まります。
キャプテン・マーベルを新たな仲間に加え、早速サノスにリベンジします。方法はと言うと、ソーの斧で、あっさり首をはねて、はい終わり。
実はサノスは指パッチンのあと、必要の無くなったインフィニティ・ストーンを破壊していたのだが、その時の膨大なエネルギーによって自身の体が不自由になっていたのです。
インフィニティ・ストーンがあれば、消滅した人を取り戻せるかも知れないと言う希望が打ち砕かれ、サノスを倒しても虚しいアベンジャーズは半ば解散状態になり、5年が経過します。
ここまでで約30分経過しますが、あまりのあっけ無さに逆に驚かされました。この時は、ここからあと2時間半が心配でしたが安心して下さい、凄い結末が待っています!
サノス指パッチンで生き延びたキャラクター、消滅したキャラクター
10年間続いたMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)作品の集大成の今作。となれば、「インフィニティ・ウォー」で消滅した今までのキャラクター達や出なかったキャラクター達の行方が気になります。
時系列では「エンドゲーム」のその後となる「スパイダーマン:ファー・フローム・ホーム」が公開となり「スパイダーマン」が生存しているので何かしらの方法で戻ってくる事は想像出来ましたが、どうやったのか気になりますね。
ではまず、「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」のサノス指パッチンを経て、メンバーの生死を確認してみましょう。
○生き残ったメンバー
「インフィニティ・ウォー」で消滅のシーンが描かれて無く生死不明だった、「ペッパー・ポッツ」、「ベネディクト・ウォン」、「ハッピー」が生きていることが分かります。
また、「インフィニティ・ウォー」後に公開された「アントマン&ワスプ」、「キャプテン・マーベル」の2作品でもポストクレジットシーンに「アントマン」と「キャプテン・マーベル」の生存が描かれています。
○消滅したメンバー
○死亡したキャラクター
「インフィニティ・ウォー」で6つストーンを手にしたサノスの指パッチンによって消滅したメンバーは、モノトーンのポスターで表現されました。また、指パッチン以前に殺されてしまったキャラクター達も乗っています。
では、消滅してしまったメンバー、死んでしまったメンバーは「エンドゲーム」で一体どうなるのでしょうか!?
「エンドゲーム」では、「インフィニティ・ウォー」で消滅したキャラクターが「ある方法(次に紹介)」で、ほぼ全て蘇ります。
また、サノス指パッチン以前に死亡したキャラクターの中で、ガモーラはサノス、ネビュラと共にタイムスリップで現代に現れ、事実上蘇ります。
「インフィニティ・ウォー」の冒頭、サノスに殺されたロキは、アイアンマンとキャプテン・アメリカが過去にタイムスリップした際、偶然スペース・ストーンを手に入れ姿を消します。
「ドクター・ストレンジ」に出てくるエイシェント・ワンによれば、過去が変わると「新たな時空の流れが出来る」と言う事なので、「エンドゲーム」の世界でのロキの生存はわかりませんが、違う時空で生き続けている可能性がとても大きくなりました。
「インフィニティ・ウォー」で「マインド・ストーン」を抜き取られ死亡したヴィジョンに関しては全く触れられなかったので、残念ながら蘇らなかったようです。
6つのインフィニティ・ストーンを集める
少しネタバレになりますが、6つのインフィニティ・ストーンを再度集める事が今作のストーリーのメインとなります。
サノスによって6つのストーンは破壊されてしまいますが、ある方法で過去にタイムスリップし、サノスが集める前に保管されていた場所や所持していた人に会い、回収していくことになります。
別の言い方をすると、「過去の作品のある場面に戻る」です。なので、これまでの作品を見てきたファンにとっては懐かしいシーンや、新たな繋がりが見られるご褒美タイムですね。
(1)タイムストーン、マインドストーン、スペースストーン
「アベンジャーズ」(2012年公開)のNYの戦いの最中に、アイアンマン、キャプテンアメリカ、アントマン、ハルクがタイムスリップします。
MCU作品の個別のキャラクターが初めて揃って戦った「アベンジャーズ」の名シーンが見られるのが、シリーズを見てきたファンにはたまらないシーンです。
ハルクは「ドクターストレンジ」のエイシェント・ワンに出会い、タイムストーンを譲り受けます。この時、時間の分岐(違う時空の流れが発生する事)の説明を受け、全てのインフィニティ・ストーンは元に戻す事を約束し持ち帰ります。
またこの時、ドクターストレンジがサノスにタイムストーンを渡した事が、気の迷いなどではないと強く言います。では何故、渡したのか。
順をおって解説しますが、どうしても気になる方は 「こちら」で下に飛びます。
アイアンマンとキャプテンアメリカ、そしてアントマンはこの時代ロキが持っていたマインドストーンの回収に向かいます。
「アベンジャーズ」の最後、ロキを全員で捕まえたシーンのその後から始まります。
スペースストーンは当時のアイアンマンが持ち、シリーズを通してS.H.I.E.L.Dの敵である「ヒドラ」によってマインドストーンの杖が回収されてしまいます(この時はまだヒドラと判明していません)。
マインドストーンを持った「ヒドラ」のメンバーはエレベーターで降りていきますが、そこにタイムスリップしてきたキャプテン・アメリカが途中から乗り込みます。
このシーンは、「キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー」(2014年公開)で、キャプテン・アメリカが一緒に戦ったメンバー(実はヒドラの一員)に襲われるシーンが再現されます。
戦いになるかと思いきや、キャプテン・アメリカが「ヒドラ万歳」と呟き、大人の対応で回収します。
運悪く、当時のキャプテン・アメリカと遭遇し変装しストーンを奪ったロキと勘違いされ戦う事となります。
当時のキャップに押され気味でしたが、死んだはずの「バッキー」の生存をほのめかし動揺した隙きに無事回収します。
一方、アイアンマンとアントマンは当時のハルクにたまたま邪魔されスペースストーンを取り損ねます。1往復しか出来ないタイムスリップが失敗したアイアンマンは、キャプテン・アメリカと共にアントマンのピム博士が研究していた1970年のニュージャージー州軍事施設にタイムスリップします。
ここで、無事スペースストーンを回収し無事現実に戻りますが、トニー・スタークは父ハワード・スタークと、アイアンマンは恋人ペギーにそれぞれ会い、大切な人を想う気持ちが伝わる感動的なシーンです。
ちなみに、この軍事施設のシーンに写る前の車を運転しているおじいさんが、マーベルコミックス生みの親「スタン・リー」で、毎回恒例のカメオ出演です。
「エンドゲーム」が公開前に亡くなっており、最後の出演シーンなので貴重なものとなってしまいました。
(2)リアリティストーン
ソーとロケットは「マイティ・ソー/ダークワールド」(2013年公開)のアスガルドへタイムスリップし、リアリティストーンの回収を行います。
ソーは元の時代に戻る前、母フリッガと話をし落ち着きを取り戻します。また、「マイティ・ソー/バトル・ロワイアル」で破壊される前のムジョルニアを手にし、リアリティストーンとともに現代に戻ります。
このとき、なぜソーがムジョルニアを呼び戻したのかは謎ですが、これが終盤の盛り上がりを作るキーポイントになっています。
(3)パワーストーン
「ガーディアン・オブ・ギャラクシー」(2014年公開)で、冒頭にクイルが踊りながらパワーストーンを取りに行くシーンにネビュラとウォーマシンがタイムスリップします。
Redboneの「Come and get your love」にのり気持ちよく歩いているクイルを一撃で気絶させるのはとても可哀想ですが、重たい雰囲気のエンドゲームの緊張を和らげてくれる面白い演出です。
難なくパワーストーンを手にし現代に戻る瞬間、同じ時代のネビュラと交信し戻れなくなったネビュラがサノスに捉えられ計画がバレてしまいます。
過去のネビュラが現代に戻り、サノスが現代に戻れるよう手引を行い、物語はクライマックスに向かいます。
(4)ソウルストーン
「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」(2018年公開)では、サノスが娘のガモーラを犠牲にソウルストーンを手にした場所です。
ブラックウィドウとホークアイが、自分の命と引き換えにソウルストーンを手に入れようと、お互いが相手を飛び降りさせないように戦います。
アベンジャーズを家族と呼び常に戦い続けたブラックウィドウか、家族を消され闇に落ちたホークアイか、「アベンジャーズ」の初代から出ている重要キャラクターが犠牲にならないといけない場面で、ブラックウィドウが犠牲になり、ホークアイはソウルストーンを手に現代へ戻ります。
全てのストーンが再び集まり、トニー・スタークが新たに作ったガントレットに取り付けます。
サノスでさえ身体が不自由になる程のエネルギーを発するガントレットを誰が付けるかで少し揉めます。
神様のソーのか、サノス並みのパワーのハルクか、人間代表キャップか、技術でカバーのアイアンマンか。
本来ならソーがやるべきでしたが、5年の間に怠惰な生活をして太ってしまったソーは万全ではないとして却下されます。
代わりに、似た性質のガンマ線を浴びて超人となったハルクが右手にはめます。
はめただけでも強力なパワーに苦しむハルクですが、何とか指パッチンをします。
静けさの中で、消滅したはずのアントマンの奥さんからスマホに着信があり、恐る恐る出てみると本当に奥さんからで、全ての生命が元に戻りました。
しかし喜びもつかの間、2014年のサノス軍団が現代にタイムスリップしてきて、最終決戦になだれ込みます。
サノスは再度指パッチンすべく、ハルクが使ったガントレットを奪いにネビュラの情報と手引によって過去からタイムスリップして来たのです。
「インフィニティ・ウォー」と同様、サノスに苦戦するアベンジャーズ。キャプテン・アメリカがなんとソーのムジョルニアを使い一糸報いるが、サノスを倒すまでに至らす、盾もボロボロに切り刻まれまたも破れてしまう絶望の最中、消滅したはずのファルコンから無線に連絡が入ります。
そうです、消滅したメンバーが復活しているのです。ドクターストレンジが惑星タイタンから現れると、時空の扉が次々と開き、ブラックパンサー、スパイダーマン、クイル、バッキーなどなどゾクゾク出てきます。
もうここが1番の感動のシーンです。MCU作品を多く見た人がより感情移入しやすく感動します!
また、ペッパー・ポッツの参戦やキャプテン・マーベルは遅れて登場しますが、またこれも圧倒的でカッコイイ!物語は大詰めを迎えます。
この戦いの結末では、ドクター・ストレンジが「インフィニティ・ウォー」で語った1400万分の1がどんな結末だったのかが判明します。
「インフィニティ・ウォー」で、ドクター・ストレンジは「タイム・ストーン」を破壊する事もできたはずです。
そうすれば、全ての石が揃うことなく全宇宙の生命が半分になることもなかったはず。しかし、破壊することなくサノスに手渡した行動には、結末を知ってのことだったことが描かれます。
最後の戦いの中で、アイアンマンが「1400万分の1は実現しそうか?」とドクター・ストレンジに尋ねた際に、「いまわかってしまうと実現しない」と答えます。
これは、アイアンマンが自分の命と引き換えに指パッチンをしないと世界は救えない、1400万分の1が実現しないことをドクター・ストレンジは知っていたからです。
この結末を知って、再度「インフィニティ・ウォー」の惑星タイタンでのサノスとの戦いや、「エンドゲーム」の復活して一緒に戦うシーンを見てみると、ドクターストレンジの表情がまた違ったものに見えてきます。
また、映画公開後に明かされたカットシーンでは、アイアンマンの死を悼み、一緒に戦ったヒーロー達が敬意を払い膝をついていくシーンがありますが、ドクターストレンジだけが戸惑いを見せながらゆっくりと膝をつき、険しい表情を見せます。
この結末を知りながら戦ってきたドクターストレンジなりの苦悩や、アイアンマンに寄せる想いが伝わってきます。
カットされた理由については、この10年間の主人公はやはりアイアンマンであり、またキャプテンアメリカであって、その後の喪服での追悼シーンを尊重するためと言っています。
カットされたシーンがこちら。
出典元:YouTube
まとめ
全体の感想、そしてネタバレは以上になります。映画史上最長とも言える豪華な3時間も、10年間MCU作品を締めくくるには足りない!と思えるくらい充実しており短くさえ感じます。
雰囲気の重たかった「インフィニティ・ウォー」から一転、マーベルらしいコミカルなやり取りもたくさん取り入れられた面白さや、現実の世界のように見せる卓越したCG技術、そして超豪華なキャスト陣にただただ興奮しっぱなしの素晴らしい作品です。
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