初心者大歓迎!学生オーケストラのセカイ

まとめ
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 大学進学を機に、新たな事に挑戦される方は多いと思います。運動を始めたい、資格の勉強をしたい、日本中や世界中を旅行したい、アルバイト、起業、ボランティアなどなど、一生の思い出や今後の人生に繋がるさまざまな経験が出来る大きなチャンスです。

そんな中、オーケストラの世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。やってみたい気持ちはあるけど、いままで触れる機会のないオーケストラ、入るのが難しそう、初心者は無理なんじゃないか、そもそも楽譜が読めないなど心配なこともたくさんあると思います。

この記事では、オーケストラに興味を持っている方が少しでも不安を解消できるよう、私自身の経験を基に1つずつ丁寧にご説明していきます。一人でも多くの方が楽器の魅力、オーケストラの魅力に親しみやすくなってもらえば幸いです。

私の経歴

 私は大学の入学式に、学内の学生オーケストラの演奏を見て、ひとめぼれで入部を決意しました。

それまでの音楽経験と言えば小学生の時にピアノを3年習った程度なので楽譜は読めましたが、ヴァイオリンなどの弦楽器はもちろん、吹奏楽に所属した事もなかったのでクラリネット、トランペットなどの管楽器にも触れたことがない状態でした。

また、クラシック音楽を聴くこともなく、演奏を見るまでは入りたいという気持ちは一ミリもない、完全なオーケストラ初心者でした。

しかし不思議ことに、演奏を見ていたら何故かチェロだけ金色に輝いて見えたんです!未だに強く覚えていますが、その時に「これやる!」と決めたのが事の始まりでした。

入部してから卒業まで4年間続け、社会人になってからは1年程度地域のオーケストラで演奏していましたが、仕事や子育てなどで時間を作れず現在は演奏から離れています。それでも、CDを借りて聴いたり、ラジオやYouTubeで今でもクラシック音楽を楽しんでいます

それでは、大学オーケストラについて皆さんが疑問に思う事を1つずつ解説して行きます。

学生オーケストラとは

 そもそも、学生オーケストラとはどんな団体なのでしょうか。

学生オーケストラとは、主に学内の生徒が演奏者として集まったオーケストラの事を意味します。多くは大学オーケストラの事を指しますが、都内や大都市の高校にはオーケストラがあり、こちらも学生オーケストラと言えます。

一般的には学内の生徒だけで構成されたオーケストラが多いですが、学生であれば違う学校に所属していても参加できる学生オーケストラもあります。

年に1~2回程度の演奏会を開催し、それに向けた練習を行うスケジュールとなっています。学生オーケストラ同士の交流会や、部内での発表会、パート別の演奏会など規模によって行われるイベントも変わって来ます。

では、いざ入るにあたり、不安や疑問に思う点を1つずつ、私の実体験をもとに解説して行きます。

初心者でも大丈夫?

 まず誰もが思う疑問が、初心者でも入部出来るのか、という点だと思います。

結論から言うと、初心者でも全く問題なく入部できます!何故なら、学生オーケストラ、特に弦楽器の大半の人が経験ゼロの初心者として入部しているからです。

私の大学では、1年生が15人くらい入り、ヴァイオリン経験者1人、吹奏楽経験者が4~5人、残りは初心者でした。ピアノなどの楽器経験なし、楽譜も読めませんという人もいましたが、4ヶ月程度の練習期間で部内の演奏会に出られるようなりました。

楽譜の読み方、音の出し方から始まり、1音1音少しずつ丁寧に教えてくれます。教える立場になる事で得られる事も多いので、先輩たちも快く指導してくれます。

また、大学だと地元を離れて初めて一人暮らしをするという人も多いので、そう言った不安を抱えている1年生にはより優しく接するように心がけていました。

お金はかかる?

 オーケストラに限らず、運動部、文化部などサークルや部活動にはお金がどうしてもかかってきます。ここでは、基本的にかかってくる費用を項目別にピックアップします。

入団費、部費

 これは、どの部活やサークルなどでも基本的に発生するものだと思います。相場としては入団費が1000~3000円、部費が月3000円程度となっています。

入団費はその後の新歓代に充てたりしています。部費については、部内の備品(スコア、録音機材など)購入や、練習場所の費用、消耗品の購入など部を運営する費用にあてられます。

演奏会費

 こちらは、演奏会を行うにあたっての費用になります。1回の演奏会で1人15,000円~30,000円程度負担することになります、演奏会の規模によって固定ではない事もあります。

こちらは、主に演奏会を行う会場の費用(当日、前日など)、エキストラへの謝礼、ポスター、チケットなどの手配費用、演奏会後の打ち上げ費用などになります。

演奏会が年1回で、演奏会場もキャパシティーの少ない会場であればより安くなりますが、逆に年に複数回、海外公演するという学生オーケストラもあり、かなりの費用がかかるようです。

合宿費

 演奏会に向けて、集中的に練習を行うための合宿費です。期間や場所、指導するトレーナーの有無などで大きく変動しますが、30,000~60,000円程度となります。

私の場合は、夏合宿という名前で夏休み期間中に2泊3日の合宿がありました。午前中はパート練習、午後は全体練習のような感じで集中的に練習を行いました。

基本的には宿泊にかかる費用と交通費だけだったので安い部類だと思いますが、各パートでトレーナーを呼んで指導となると、謝礼が発生するので金額がグッとあがります。

楽器の消耗品費

 多くの学校では、楽器の使用自体は学校の所有している物を無償で使えるので費用はかかりませんが、使用している楽器のメンテナンス費用は自腹となり、あまり見えてこない金額なので忘れがちですが、重要なので楽器別にご説明します。

弦楽器の場合

 弦楽器は結構費用がかかってきます。まずは弦と弓の交換です。

弦1本3,000~6,000円します。年に1~2回は交換をした方が良いので、4つの弦を年2回交換すると最大で48,000円程度かかります。安いヴァイオリンの弦で、年に1回であれば12,000円まで下がります。ただ、音色が悪くなったり、演奏中に弦が切れることも珍しくないので、この費用負担は逃れられません。チェロ、コントラバスと楽器が大きくなると弦の値段も高くなります。

また、弓の毛は年に1回程度の交換が推奨されています。馬のしっぽの毛が使われていますが、演奏中に切れて減ったり、徐々にハリが弱くなってくると演奏に影響するので交換が必須です。馬の毛の種類によって変わりますが、スタンダードなもので7,000~8,000円程度かかります。

さらに、知られていないけどとても大切な楽器の部分で、弦をささえている駒という部分や、楽器の中にある魂柱(こんちゅう)と呼ばれる部品の調整は響きに大きな影響が出る部分なので、出来れば半年に1回調整を行えると良く、1回に5,000円程度かかります。

木管楽器の場合

 木管楽器は、若干の費用がかかってきます。

マウスピースにセットするリードと呼ばれる薄い木の板のようなものが消耗品としてかんがえられます。リードは植物を加工した部品で、1ヶ月程度で割れたり湿気で使えなくなるので頻繁に交換や、複数所持することになります。1本500円程度からですが、自分に合う合わないが結構悩ましい問題だったり、自分で加工して失敗することもあるので、基本的に複数を同時保管することになります。

その他には、楽器内の水分をふくスワブ(2,000円程度)やキーにさすオイル(1,000円程度)なども交換、補充が必要となります。

金管楽器の場合

 基本的にほとんど費用はかかりません。スライドする箇所やバルブが滑らかに動くようオイルを定期的にさす必要があるので、オイル代は1,000円前後で購入できます。

また、楽器内にたまった水分を抜く箇所にコルクが使われているので、半年に1度交換すれば十分で、費用もコルク代が500~600円+作業費用500円程度となっています。

その他、大きな修繕が必要な場合は個人負担なのか、学校・団体負担なのかは分かりませんが、最低でもこのくらいはかかってきます。

交通費

 これは練習する場所によって全くかからない場合と、毎回かかる場合とで大きく変わってくると思います。

基本的には学内の指定場所で練習する場合はかかりませんが、近くの練習場を借りてやる場合の交通費は自腹です。

私も月に1~2回程度バスで離れた練習場所に行く事がありましたが、片道150円、往復300円、月2回×12ヶ月とすると7,200円程はかかっていました。

大学でキャンパスが別の学校や、都内で練習場所が学内に無い場合など、入っていてから地味にかかる可能性があるので要注意です。

服装

 演奏会では、男性だと礼服+蝶ネクタイ、女性は黒のワンピースを着用する事が基本となります。体型が変わらなければ1着あれば十分なので、男性も女性も安いもので20,000~30,000円程度で手に入ると思います。

また、革靴、黒靴下、パンプスなどは5、000円程度になるかと思います。

団体の指定のユニフォームなどあれば、別途かかる場合が考えられますが、基本的には1度しかかからない費用です。

費用まとめ

 少し長くなってしまいましたが、安く見積もっても10万円程度はかかってきます。また、木管楽器だとプラス2万円、弦楽器の場合だとプラス5~8万円程度はかかります。私の体験談を基にまとめてみましたが、概ねこの程度は最低ラインと考えていただくとギャップは少ないと思います。

学生オーケストラのホームページでは、費用に関して記載している団体もありますので、興味がある場合は事前に確認すると不安が少なくなると思います。

部費(毎月)3,500円
合宿費50,000円 演奏会費20,000円 年間約20万円
部費は各月末、合宿費や演奏会費などは各行事ごとに集めています。

中央大学 音楽研究会(管弦楽部)

団費は毎月3000円です。
その他に演奏会の乗り番代(約2万円)、合宿費(約3万〜4万円)ほどかかります。

明治大学交響楽団

楽器の選択について

 入部するにあたり最大のポイントとなるのが、楽器の選択です。基本的に、やりたい楽器を選択して入部します。

自分がやってみたい楽器をやるのが一番理想ですが、そもそも楽器の魅力自体が分からないから選べないことや、入部する学生オケの所有する楽器が足りずに選べない、同じ楽器に集中して楽団のバランスが悪くなるなど、思うように楽器が選択できないとその後ずっと後悔することにもなります。

ただし、もし入部の段階でこれ!と決めた楽器があれば、絶対に譲らないことをおすすめします。それは、その後の練習への熱意に大きくかかわってくるからです。

私自身、チェロをやりたくて入部希望をしましたが、チェロ希望が多かったことと先輩の勧誘もあり、実は最初はコントラバスを選択しました。でもやっぱり諦めきれなくてチェロを希望し変更しましたが、あの時にコントラバスを続けていたらいまどうなっていかた分かりません。

もし自分で決められない場合は、先輩たちの意見を聴いても良いと思います。楽器によって活躍する場面や役割が違うので、性格的に向いていそうな楽器をおすすめしてくれたり、身長によっては演奏しずらい楽器、部内での各パートの雰囲気などを考慮して選んでくれます。

基本的には入部希望の方には納得して長く楽器を続け、オーケストラの楽しさを一緒に体験したいと思う人の集まりなので、良い出会いに巡り合えることを願っています。

練習について

 さて、入部に対する不安をクリアし、費用面も考慮、楽器も決まっていざ入部した後に意外とネックとなるのが、実は練習頻度です。

学生オケでは概ね週3回、授業が終わる18時~21時の練習を基本としているところが多いですが、全体の練習に向けた個人練習の必要性や、演奏会が近くなってくると土日での練習が入ることも予想され、練習機会は多くなりがちです

大学の場合、学部によって授業数や課題の量に大きな違いがあるため、授業は終わったけど課題が終わらずに練習に出られないことや、アルバイトや掛け持ちしている部活、サークルとバッティングして徐々に遠ざかるなんてことも少なくありません。

私は工学部だったので、1日5コマ×5日間びっしり授業があり、練習が終わり自宅に帰った22時から課題をこなすような事も少なくなかったので結構大変でした。

また、演奏する曲目と自身の楽器によっては、ほとんど出番がないのに全体練習に出なければいけない不満や、パートによっては練習頻度が多い場合もあります

オーケストラに限ったことではありませんが、自身の熱量と所属する団体の熱量に大きな違いがあると続ける事は難しいこともあります。特に、木管、金管楽器は吹奏楽部でも演奏出来るため、弦楽器より管楽器の方が途中退部が多かったように思います。

演奏会について

 日々の練習を重ね、いよいよ演奏会です。

どの学生オケも年1~2回の演奏会を毎年行っています。演奏会は、オープニング曲(10分程度)、サブ曲(30分程度)、休憩をはさんでメイン曲(40~50分)という大きく別けて3つの作品を演奏するパターンが多いです。

おおむね6月、12月に演奏会を行う団体が多いですが、新入部員は12月の演奏会の1曲に向けて練習を行います。経験者や上達具合、パートの人数によっては全曲出ることも珍しくないですが、まず初心者として入部した方は1曲のために頑張ります

弦楽器であれば弾けないところがあったり、音程がとれない部分があっても、主力の2~4年生の方が多く音量も大きいので、余程の失敗でもしない限りは目立ちません。まずは集中して演奏する事が大事です。

一方、管楽器はソロを担う事もあるので弦楽器とは状況が異なり、緊張感も高いと思います。基本的に選曲時に部内のレベルや演奏者を考慮して選考しているので異常に難しい曲はないと思うので、他人に頼るのではなくとにかく成功させるという強い意気込みが必要です。

また、全ての演奏に参加することのない1年生は、演奏会の裏側を支える仕事も多く担当します。受付対応、大型楽器の搬入・搬出、エキストラ対応、舞台上の椅子や譜面台の調整、演奏会後の打ち上げの準備など、朝から練習をして裏方もしてと、結構忙しい1日を過ごすことになります。

退部について

 退部についても触れておきたいと思います。

学生オケのスケジュールとしては、年に1~2回程度の演奏会に向けての活動が主となりますので、退部するタイミングとしては演奏会後のなるべく早い段階が理想的です。

私のオーケストラでは、12月の演奏会が終わると運営関係の代替わりを行い、新体制で次の演奏会に向けた準備が始まります。6月の演奏会は新入生が演奏することは無く、いまいる人数がそのまま演奏会に出ると仮定して選曲を行います。そのため、人数の多いパートについてはそこまで問題になりませんが、仮に2人しかいない管楽器などのパートで選曲後に1人抜けるとなると、最悪演奏会の開催自体も検討する必要が出てきます

実際はOBやエキストラ、近隣の交流がある団体等に声をかけて穴埋めをすることになりますが、辞める人も残る人もどちらも大変になるので、残念ながら何かの理由で退部する場合はタイミングが大切だと思います。

また、退部ではなく休部、もしくは演奏会は出ないという選択肢もあります。特に大学3~4年生や院生になると卒業論文や学会、就職活動などで練習に参加しにくくなるため、事前に出ないという選択肢も重要です。

息抜きで話に来たり、空いた時間で練習をしたりする機会がないと、そのままフェードアウトなんてこともあるので、なるべくならお互いが無理せず長く続けられることを念頭に選べると良いですね。

まとめ

 実体験をもとに、気になる点をまとめてみました。

全く知らないオーケストラの世界に飛び込むのはとても勇気がいるかもしれませんが、誰しもがほんの少しの興味から楽器を始めているので安心して下さい。

楽しいオーケストラ体験が出来ることを応援しています!

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