愛にまつわるクラシック音楽 17選

まとめ
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 「愛」を伝える手段として、「好き」という言葉や、ハグをしたり笑顔を向けたりと態度で伝えるなどありますが、作曲家たちは素晴らしいメロディーで愛を表現しています。今回はそんな「愛」にまつわるクラシック音楽をご紹介します。

愛にまつわるクラシック音楽 17選

リスト/愛の夢 第3番

 リスト作曲の「愛の夢」から第3番を紹介します。リストは「ピアノの魔術師」と呼ばれるほどの偉大なピアニストであり、そして数多くの作品を作った作曲家でもあります。本作は、自身が作曲した歌曲「O lieb, so lang du lieben kannst(おお愛せよ、愛することができる限り)」をピアノ曲として編曲した作品です。

歌曲の言葉にあるように、愛を情熱的に表現した作品のように感じますが、実は少し違っていたようです。

「愛したい限り愛するなどということは、たいていそんなに長くは続かない

からもう少し軽はずみな感じで弾いてください」

リスト 愛の夢

一部を引用させていただきましたが、リストが弟子に指導した際の発言です。あんなにステキなメロディーとは裏腹にこんな辛辣な事を語っていたとは驚きです。作品について詳しい解説がされているので気になる方は是非ご覧ください。

リスト:愛の夢第3番 / 反田恭平

ワーグナー/ジークフリート牧歌

 ドイツの作曲家ワーグナーが妻コジマに送ったとされる「ジークフリート牧歌」をご紹介します。

ジークフリートはワーグナーの息子の名前で、息子を出産した妻への感謝を込めた作品で、世間に発表する前に妻にサプライズで演奏を行ったというエピソードがとても有名です。ちなみに、妻コジマの父親は1つ前に紹介した「愛の夢」などで有名なピアニストのリストなのは驚きです。

ワーグナーといえば重厚で壮大なオペラを数多く作曲した「楽劇王」と呼ばれる存在でしたが、本作は力強さや激しさとはうってかわり、息子の誕生よ喜ぶ優しさや自然の景色、暖かい光などを感じられ、ワーグナーの妻と子供への愛を感じる作品です。

Wagner: Siegfried-Idyll ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Alain Altinoglu

エルガー/愛の挨拶

 イギリスの作曲家エルガーの「愛の挨拶」は、のちに妻となる恋人に送った曲と言われています。この曲をきっかけにエルガーは人気となり、「威風堂々」やチェロ協奏曲、交響曲など多くの作品を残す偉大な作曲家となりました。

流れるような美しいメロディーは世界中で人気となり、ピアノとヴァイオリンの作品として作曲された本作は、チェロやフルート、オーケストラ用にも編曲されいまでも多くの人に愛されています。

Salut d'amour -愛の挨拶 (Edward Elgar)

こちらはチェロバージョンも掲載します。

Maddalena Del Gobbo – Edward Elgar: Salut d‘amour op. 12

シューマン/「子どもの情景」より「トロイメライ」

 ドイツの作曲家シューマンのピアノ曲集「子どもの情景」の第7番「トロイメライ」をご紹介します。

シューマンの妻となるピアニストのクララとの手紙のやりとりの中で「時々あなたは子供に思えます」と言われたことをきっかけに作られた作品です。

当時、シューマンはクララの父親に結婚を反対されていましたが、「トロイメライ」=「夢」のタイトルのとおり優しく穏やかでどこか夢見心地なメロディーはクララとの幸せな結婚生活を夢見て描いたのかも知れません。

「子どもの情景」には全ての曲にタイトルがついており、「鬼ごっこ」や「おねだり」のほか「十分に幸せ」という作品も納められています。二人の結婚後の幸せな家庭が目に浮かぶ、愛の詰まった作品です。

Lang Lang — Träumerei (Kinderszenen, Op. 15 No. 7), Schumann

ブラームス/ピアノのための6つの小品より第2曲

 ブラームス晩年の名作で、ブラームスらしい悲哀を含んだとても美しいメロディーが特徴のピアノ曲です。

クラシック作品の多くは誰かに「献呈」(誰かにささげる)する事が自然で、作曲を支えてくれた人や団体、権力者や友人など作曲家自身が感謝や敬意を表す方法として行われています。そして、本作はシューマンの妻クララに献呈されてます。

とても有名な話ですが、ブラームスはシューマンの妻クララに恋心を抱いていました。シューマンに才能を見出され多くのサポートを受けたブラームスは、シューマンが病気で入院している時や亡くなったあと献身的にクララや家族を支え続けていました。そんなブラームスは恩師に背くことはせず、クララへの愛する気持ちを抱えたまま生涯をとじています。

年齢を重ね、作曲家人生、そして自身の命の終わりを感じながら作られた本作は、クララに対する深い愛情、楽しかった想い出、決して叶う事のない、叶えてはいけない想い、幸せを願う気持ちなど、多くの感情が込められた本当に素晴らしい作品です。

J. Brahms – Intermezzo Op.118 N.2 / Full HD 4K

ブラームス/子守歌

 こちらもブラームスが作曲した作品で、歌曲「子守歌」です。赤ちゃんや小さな子供を寝かしつけるときに必ずと言っていいほど耳するこの作品、私自身ブラームスの作品と知らず、昔からある民謡だと思っていました。

ブラームスの友人に子供が生まれたことを祝い作られた作品で、シンコペーションのリズムが揺れるゆりかごをイメージさせてくれます。

歌詞の内容は、ゆっくり眠りなさい、何も心配いらないよ、幸せが訪れるよと子供の幸せと安心感を伝える内容になっています。

Johannes Brahms – Lullaby

ボロディン/弦楽四重奏曲第2番 第3楽章

 ロシアの作曲家ボロディンが作曲した弦楽四重奏曲で、とくに第3楽章は「夜想曲」として単体でもとても有名な作品です。本作は妻エカテリーナへのプロポーズ20年周年記念として作曲され、妻へ献呈しています。

チェロが奏でるメロディーはまさに甘美という言葉がピッタリで、幻想的であり優しく、美しい、それでいてロシアらしい情緒を感じさせてくれる素晴らしい作品です。ボロディンの妻への愛を感じます。

Borodin: Quartet No. 2 in D major for Strings, III. Notturno: Andante

ドビュッシー/夢

 フランスの作曲家ドビュッシーのピアノ曲「夢」をご紹介します。

分散和音で調性を感じさせない、ふわっとした幻想的でどこか物悲しい雰囲気の本作は「夢」というタイトルがピッタリの作品で、いかにもドビュッシーらしいと感じます。

作品の背景には失恋があったと言われ、叶わぬ夢を音楽で表現した作品だと感じます。気になる方は以下の引用をご覧ください。

いずれにせよ、私はあの夢の「夢」の消滅に涙を流しています

【曲解説】失恋!?ドビュッシー《夢Reverie》に関わる(かもしれない)手紙と詩
ドビュッシー/夢(夢想)/演奏:金子 一朗

ドビュッシー/月の光

 続けてドビュッシーの作品、ピアノ曲「ベルガマスク組曲」より第3曲「月の光」をご紹介します。

月の光に優しく照らされた夜の風景を、優しくおだやかなメロディーで表現している本作。すべてのことを包み込んでくれるような優しさがとても素敵で、聴く人すべての心を落ち着かせてくれる深い愛のような名曲です。

Lang Lang – Debussy: Suite bergamasque, L.75: III. Clair de lune

ラヴェル/亡き王女のためのパヴァーヌ

 ドビュッシーより13歳年下にあたるフランスの作曲家ラヴェルによる作品で、ピアノ曲として作曲されました。自身による管弦楽版も有名で、ラヴェルを代表する作品です。

「亡き王女」を追悼するような曲調ですが、スペインのマルガリータ王女の肖像画を見てインスピレーションを受けた作品で、ラヴェル自身も「かつてスペイン王宮で王女が踊っていた様子を描いたものだ」と語っていました。

透明感のあるメロディーは聴く人のこころに優しくしみわたり、愛に包まれたような気持にさせてくれる名作です。

Seong-Jin Cho – Ravel: Pavane Pour Une Infante Défunte

ショパン/ノクターン No.9-2

 ポーランドの作曲家ショパンは数多くのピアノ作品を残しており、有名な作品をあげたらキリがない程の偉大な作曲家ですが、今回は「ノクターン No.9-2」を取り上げます。

一度は耳にしたことがある方も多いこの曲は、ゆったりとしたメロディーとところどころにあるトリルが美しく、うっとりするような作品で、全21曲のノクターンを作曲した中でも1番人気の作品と言われています。

Seong-Jin Cho – Chopin: Nocturnes, Op. 9: No. 2 in E Flat Major. Andante

ショパン/別れの曲

 こちらもショパンの作品で練習曲作品10-3をご紹介します。ショパンを題材にしたドイツ映画「別れの曲」で使用された曲から、映画のタイトルをとって日本では「別れの曲」として定着した名曲です。

この曲を作曲していた当時、ショパンは故郷のポーランドを離れ、パリで生活していました。恋人との別れを題材にしているのかと思いきや、故郷を離れた事への悲しみ、パリでの生活への不安などから作られており、美しいメロディーと悲しみを叫ぶような盛り上がりが感情を揺さぶります。

For my grandma… Chopin Op.10 No.3 "Tristesse" | Annique Göttler

フォーレ/夢のあとに

 フランスの作曲家フォーレの初期のころの作品で、イタリアに古くから伝わる詩からインスピレーションを受けて作曲されました。

詩の内容は、夢の中でステキな女性と幸せな生活を送っていたが、目が覚めてしまいもう一度会いたいと嘆くもので、作品を聴いているとまさに夢の中にいるような幻想的なメロディーと、夢から覚めてしまった喪失感を感じさせて終わります。

もともとは歌曲として作曲されましたが、人気の高まりとともにさまざまな編曲がなされました。今ではピアノとヴァイオリンでの演奏が一般的ですが、チェロの神様と言われたパブロ・カザルスが演奏したピアノとチェロ版は音に深みが加わり、夢の中にいるようなまどろみ感と悲哀を感じさせてくれます。

Sabine Devieilhe, Alexandre Tharaud – Fauré: "Après un rêve"

続いて、ヴァイオリンとピアノの演奏です。

María Dueñas, Itamar Golan – Fauré: I. Après un rêve (Version for Violin and Piano)

最後に、チェロとピアノの演奏をご紹介です。

Sheku Kanneh-Mason – Fauré: Après un rêve for cello & piano

クライスラー/3つのウィーンの舞曲

 オーストリア出身の名ヴァイオリニストであり作曲家クライスラーの作品で、「愛の喜び」、「愛の悲しみ」、「美しきロスマリン」の3曲が納められたヴァイオリンとピアノの曲です。どの作品も一度は耳にしたことがあるくらい有名で、演奏会ではセットで演奏されることも多いためまとめてご紹介します。

明るくハキハキとした印象の「愛の喜び」は舞曲と言われているとおりワルツ形式で、思わず体が動き出したくなるような華やかな作品です。

一転、「愛の悲しみ」は短調で始まる物悲しいメロディーと、長調に転じる中間部分の希望が感じられる感情豊かな作品です。親交のあったラフマニノフが編曲したピアノ版は、漫画「四月は君の嘘」でも登場しご存じの方も多いのではないでしょうか。

最後に、「美しきロスマリン」。「ロスマリン」はハーブの「ローズマリー」の事で、ドイツ語圏では美しい女性を表す言葉として使われることもあります。花言葉は「追憶、変わらぬ愛、私を忘れないで」などで、愛する人に特別な想いを届けるものとして愛されています。長調の軽快なメロディーが心地よく、演奏会では何度もリピートされる定番曲です。

Maxim Vengerov – Liebesfreud – Kreisler

続いて、愛の悲しみ

Janine Jansen, Antonio Pappano – Kreisler: Liebesleid

最後は、美しきロスマリン

Gidon Kremer & Martha Argerich – Kreisler: Schön Rosmarin

サティ/ジュ・トゥ・ヴ

 フランスの作曲家サティのシャンソン「ジュ・トゥ・ヴ」。フランス語で「Ju te vuex」と書き、日本語訳では「あなたが欲しい」とストレートな愛の曲です。

歌詞はとても情熱的で、あなたが欲しい、一緒にいたい、魂を分かち合いたい、など、怖いくらいです。最近では歌詞をつけずにピアノ独奏として演奏されることが多くなっています。

「ジムノペディ」、「グノシエンヌ」の作曲者としてご存じの方も多いと思います、素晴らしい作品を多く残した一方、実は変なタイトルの曲も多いんです。「家具の音楽」、「裸の子供たち」、「官僚的なソナチネ」などはまだいい方で、ひどいのは「犬のためのぶよぶよした前奏曲 」、「犬のためのぶよぶよした本当の前奏曲」と信じられないタイトルを付けて、「音楽会の変わり者」としても超有名です。

ただ、型に縛られない前衛的だった彼の音楽は、その後の現代音楽と言われるジャンルの祖として今では高く評価されています。

Ghada Ghanem sings Eric Satie "Je te veux"

シベリウス/ロマンス Op.24-9

 フィンランドの作曲家シベリウスのピアノ曲「ロマンス」をご紹介します。作品番号24「10のピアノ小品」の第9番に当たる本作は単独で演奏されるとても有名な作品です。

本作はシベリウスの妻アイノへの想いが込められていると言われており、シベリウスらしい北欧の雄大な自然と妻への愛の気持ちが込められて美しい作品となっています。

シベリウス/ロマンス Op.24-9 Sibelius/Romance Op.24-9

ベートーヴェン/交響曲第6番「田園」第2楽章

 誰もが知る大作曲家ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」から第2楽章を紹介します。

ベートーヴェンの交響曲といえば、運命(第5番)、第9(良く年末に演奏されますね)などの壮大で重厚なイメージをする方も多いと思いますが、本作はベートーヴェンが愛した自然を音楽にした作品となっています。

ベートーヴェンは夏になると、ウィーンのハイリゲンシュタットで作曲を行っており、作品のスコアとともに自然に対する感情や賛美が書かれています。作曲時に歩いていた道は「ベートーヴェンの散歩道」として観光名所となっています。

曲の中にはヴァイオリンや管楽器で鳥のさえずりを表現した演奏も見られ、ベートーヴェンがいかに自然を愛していたのかが分かる、とても素敵な作品です。

Beethoven: Symphony No. 6, 2nd movement | Paavo Järvi & the Deutsche Kammerphilharmonie Bremen

まとめ

 いかがでしたでしょうか。

作曲家たちのさまざまな愛はどれも素晴らしいメロディーとなり、聴く人の心にしみわたります。

お気に入りの一曲が見つかったでしょうか。

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